解説:
雨宮 典匡 [あめみや のりただ]
柴田家と柚木 陽子の間で交わされた取り決めの執行監視役として、柴田財閥の創始者・柴田 耀弘から遣わされ、監視役でありながら、陽子とその娘・柚木 加菜子の面倒を14年間看てきた誠実な男。特に、赤ん坊の頃から世話をしてきた加菜子には親子のような(もしくはそれ以上の)愛情を持っていた。
瀕死の状態で美馬坂近代医学研究所に運び込まれた加菜子の手足を延命の為に切断することに反対したが、須崎に言い包められて須崎の考案した加菜子の“擬装誘拐”計画にやむなく了承、切断された手足を貰い受けて相模湖で水葬にしようとした。ところが、鉄の匣に入れた手足をトラックで相模湖へ運ぶ途中、(福本の起こした接触事故により)壊れていた荷台から腕の匣が落下、この腕と(相模湖で水葬された)足が発見されて『相模湖バラバラ遺体事件』となる。
その後、反りが合わない須崎とは随分揉めていたが、須崎から口汚い言葉で加菜子の出生の秘密を暴露され深く傷付いた。
どんな環境に身を置こうとも、それを最終的に受け入れて自分の幸福を獲得する術を心得ており、(誘拐後の加菜子が生存してる証拠にするため)須崎が生かしておいた加菜子の美しい腕を発見したことで新たな幸福に達してしまい、その腕に会うため、加菜子誘拐騒ぎの最中に保管場所である焼却炉(実は須崎の簡易生命維持装置)へこっそり行って腕との密会を愉しんだうえ腕を持ち出そうとした。そこへ、擬装誘拐を遂行して加菜子を連れ出した須崎と遭遇、須崎の持っている匣入りの加菜子(雨宮にとっては聖遺物)を見ると、須崎を殴り殺し加菜子を奪って出奔、現在も匣を抱えて失踪中である。