『日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する。　--- 日本国外務大臣』
(The Minister for Foreign Affairs of Japan requests all those whom it may concern to allow the bearer, a Japanese national, to pass freely and without hindrance and, in case of need, to afford him or her every possible aid and protection.)

パスポートの見開きに大きく記されている一文ですが、
しょっちゅう単身で渡航する私としては、何を信じたらいいのでしょうね？


『自己責任』ですか・・・。
ならば、渡航先でパスポートを紛失して大使館や総領事館に駆け込む全ての人をも痛烈にバッシングしてください。
私は税金を払っている以上、渡航先で保護を受けるのも日本国民として当然の権利だと思ってます。

今回は使った税金の額が大きかったからバッシングされるのですか？

ならばなんと悲しいことでしょう、人の命がかかった問題に金額ですか・・・。
いつから日本人はこんなに寂しい民族になってしまったんでしょうねぇ。
少なくとも３人は、彼等が持つ『邦人としての当然の権利』を主張して帰ってきたわけじゃありませんよね？
パスポートの軽卒な管理によって大使館に堂々とお世話になりに行く人たちがバッシングされないのに、なぜ彼等のほうがバッシングの対象になるのか・・・私には理解できません。


『退避勧告を出していたにも関わらず・・・』ですか。
『退避勧告』は『渡航禁止令』じゃないですよね？
「行ったら（居たら）危険ですよ〜」っていう勧告ですよね？
渡航するというのはどこの国へ行くに限らず、多かれ少なかれリスクを伴うものです。
退避勧告の出ている国はそのリスクが大きいというだけのことです。
その論理でいくなら、究極の話「日本国民はどこの国にも出かけるな！」ってことです。


解放直後の被害者のコメントについてのバッシング・・・。
監禁されている間の３人にとっては犯人が何を要求しているとか、どういった経緯で解放に至ったのかなんて知る由もないことです。当然、日本政府が大慌てしたことや関係各位が寝食を惜しんで努力してくれることも知らなかったことでしょう。
そんな状況下でのコメントを取り上げて「無責任だ！」と言う人は、自分の立場でしか物事を見てない人です。そういうあなたの方こそ自分の発言に責任を持っていただきたいものです。
（現に彼等はあなた方の『その』発言によって精神的な苦痛を味わっているのですから）


家族の感情的な発言に対してのバッシング・・・。
それは、あなたが『３人とは無関係な人物で事件を冷静に見てる人』だからです。
自分の家族の命が明日をも知れないという時に冷静になれる人間のほうがおかしいと思いませんか？
これも、自分の立場でしか物事を見てないからそういうバッシングができるんです。
私は被害者家族の要望した『自衛隊の即時撤退』には反対だったし３人とは無関係な人間でしたが、それでもご家族のそういう気持ちだけは理解できます。


私は、結果的に自衛隊を撤退させることなく３人が無事解放されて、本当に良かったと思ってます。
ただ色々な意味で、自分が日本国民であることに寂しさと不安を感じずにはいられなくなりました・・・。