『御巣鷹の尾根』とは、御巣鷹山にあるのではありません。
御巣鷹山のずっと南にある「高天原山に属する尾根」のひとつです。

24年も経つと周囲の反応も変わってきたことに気付きます。
そりゃそうです…事故後に産まれた子供や事故当時はまだ小さかった子が、普通に成人して社会に出ている歳月です。事故があったことは知っていても、（当時すでに社会人として働いていた）私なんかが当時感じた衝撃を考えると、やはりその温度差の違いを感ぜざるをえません。

特に今日を意識してそうしてきた訳ではないのですが、偶然というか、たまたま６月〜７月にかけて“日航機墜落事故”関連の書籍を読みあさっていたので、ついつい事故の記憶が風化しかけていた私も今年のこの日は、例年より何かしら意識するものがありました。

読んだ本の書評は次回にでもUPしようと思っていますが、なぜそんなふうに“読みあさる”ようになったのか、今日はそのきっかけを話そうと思います。


きっかけ自体は、とるに足らないくだらない事で…早い話が『Google Earth』だったわけです。

私は割と、日頃から意味もなく地図を眺めるのが好きだということもあるのですが、よく『Google Earth』で遊んでいます。
その日も『Google Earth』で空中浮遊しながら仮想転移旅行を楽しんでいたわけですが、ふと何のきっかけもなく突然「そういえば、日航機の墜落した場所ってどこだっけ？」と疑問が降りてきたのです…不思議なことですが。
それからというもの、そのことが気になって仕方なくなり場所を特定せずにはいられなくなってしまいました。群馬県の上野村ということまでしか知らなかったので『御巣鷹の尾根』への行き方をネットで調べまくり、概ね把握したところで地図を提供している大手サイト『Google』『Yahoo』『Mapion』『MapFan』で調べたのですが…全滅・全敗でした。
場所があまりに山奥すぎて、地図の情報が遅れていたり道路が載ってなかったり、（おそらく近いところまでは迫ってたと思うのですが）行ったことの無い人間が場所を特定するには、全くもって不十分な地図だったのです。
戦法を変え、“道”がダメなら北緯と東経を調べてそこから場所を特定しようと試みましたが…それもイマイチでした。墜落現場周辺までは寄れるのですが、どれが『御巣鷹の尾根』なのかよく判りません…。

四苦八苦するうち国土地理院の提供している『地図閲覧サービス』に辿り着いたのですが、結局のところ、これが最も有力で判りやすい地図でした。（『昇魂の碑』とそこへ行く登山道までも、ちゃんと記されています）
ただこの電子地図には航空写真が載ってないので、あらためてGoogle Earthと照らし合わせながらようやく墜落位置を特定することができました。Google Earth上で近辺を何度もウロウロしてたせいで、今ではすっかり上空から迷わずに降りられるようになってしまいましたが…。(苦笑)

場所が特定できると気になってくるのは、調べる過程で思い起こされた、時間と共に薄れかけている『当時の記憶』についてでした。

事故の当事者でない私は「忘れてはならない事故だ」という認識はあっても、やはり歳月と共に“過去の事”になってしまっていることを否定はできません。今となって一番印象に残っているのは、川上慶子さんがヘリで救出されたシーンとエンマ（フォーカスやフライデーと同じく一世を風靡した写真雑誌）に載っていた、見るに耐えない墜落現場の遺体写真ぐらいです。当時関心があった事故原因の詳細やフライトレコーダーの内容なんかも、ほとんど忘れていました。

というわけで、改めて『日航機墜落事故』とは一体どういう事故だったのかをちゃんと認識しなおそう…と思ったのが、本を読みあさるようになった発端なのです。
（以降、読んだ本の書評については、次回にでも…）


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墜落現場となった『御巣鷹の尾根』（←御巣鷹山ではありません）には、乗客の遺体が発見された場所にそれぞれの墓標が建てられて霊園のようになっています。今では、当時丸焼けになって地肌が見えていた山にも木々が生い茂るようになったようです。それでもいまだに機体の残骸や人骨や遺品などが見つかったりするそうです。
遺族でもない私がそんなところをウロチョロすべきではないのかもしれませんが、この事故の現実の一部でも自分の肌で感じて記憶に焼き付けることができるなら、老いて登山ができなくなる前に「一度は訪れてみたい」と考えるのは不謹慎でしょうか…。